『 かけだし父ちゃんの、仏教的子育て鼻先思案A 』

 
    色摩真了

埼玉3号仏青
埼玉県所沢市  宝泉寺住職
 
 

 

さてさて、育児をしていると子どもから学ぶことがたくさんあります。そんな時は素直に「ありがとう息子たちよ!」なんて気持ちになります。第二回目はそんな「子どもに教えられたこと」をテーマにしてみました。

【相互供養】

真言宗では、人を含めあらゆる動植物、水や石や火などの無機物、爽やかな風や暖かな太陽など万物が悉く仏であり、それらが関係し合って世界が構成されると考える。子供二人の世話に追われる毎日なのだが、面倒を見ている子らに教わる事も少なくない。互いに力を注ぎ合う、「相互供養」を実感する瞬間です。(2012.11.20tweet)

 「この世界の全ての存在は、そのままにしてすでに仏である。」お大師さまの教えで最も特徴的な考え方です。来世で浄土に生まれ変わるのではなく、今を生きるこの世界で仏に成る。まさにこの世はたくさんの仏さまが描かれた曼荼羅世界のようなもので、私たちは互いに互いを供養し合っています。少し難しい言葉でこれを「相互供養」と言います

 世話をする側、される側という上下関係で捉えられがちな親子の間柄ですが、育児をしていると逆に教えてもらっていると感じることもたくさんあります。親子関係とは正に「相互供養」の関係なのですね。


【子どもはいつも新鮮気分!】

病み上がりの息子と一日一緒に過ごす。しかし何がそんなに面白いのかというぐらい子供というのはいつも楽しそうなのだが、それは接するもの全てが新鮮に映るからなのだろう。私達の毎日はそう大きく変化している訳ではないけれど、子供が持つ新鮮さを感じる心は常に自分の底の部分に置いていたい。(2012.2.16tweet)

 子どもは、おもちゃやテレビ、食べ物飲み物、あらゆる動植物、様々な色かたちの車や電車、すれ違う人々や犬や猫。何でも好奇心の対象にしているようです。それはきっと、出会うもの全てが「初めて」だからなのでしょう。

 私たちの日常だってそう変わらないとしても、全く同じ一日はありません。だから私も小さな子どもと同じように、毎日が初体験の気持ちで日々を送りたいと思います。


【一歩一歩】

次男歩く。

歩行期の赤ちゃんを観察した研究によると、この時期の乳児は一日14000歩歩き、100回以上転ぶらしい。やがて段々に転ぶ回数は減り、一度に歩ける距離は伸びていく。七転び八起きを繰り返す次男の様子を見て、その歩みの一つ一つに、積み重ねることの尊さを教えてもらっている。(2013.10.1tweet)


 大人であれば1万歩歩くのだって大変なのに、あの拙い歩みで14000歩とはびっくりです。コツコツと努力を重ねることは、頭では分かっていてもなかなか実践できません。でも、実は目の前にこんな良い見本がいたのですね。

 ちなみに歩きはじめの赤ちゃんは、どんな環境でも常に歩きたがっているのだそうです。専門家は、「歩くこと自体を楽しんでいるのだろう。」と分析していますが、努力を楽しむことができたら最高だなー。