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『受け継ぐ』 |
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門屋昭譽 東京6号仏青 東京都東大和市 三光院副住職 |
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平成二十七年がスタートいたしました。皆さまはいったいどんな年末年始をお過ごしだったでしょうか? 他にもお米を炊いたり、ついたおもちを分けていったりといろんな役割があった。 今回参加して気になったのは、もちつきを受け継ぐ人がいるのか?ということ。思った以上に自治会の高齢化が進んでいるなという印象だった。たかがもちつきだけど、いろいろな経験や技術がつまっている。地方独特の風習もある。どうやってこれを次の世代へと繋げていくのか。 先日とある方がお話されていた。 長年、サラリーマンとして働きに出て、地元のことから遠ざかっていると、いざ地元に戻ってきてもブランクが長すぎて、なかなか馴染むことができない…だから地元の付き合いをしない人が増えている。悪く言えば、“個人”のことだけを考えている人が増えた。 そんなお話を聞いた。 誰ひとりとして一人で生きてきた人はいません。少なからず地域の中で生かされてきました。でもそんな意識が薄れてきているように感じます。心の片隅でいいから、そういったものへの感謝の気持ちを持ち続けてほしい。そしていつか恩返しをする。そんなふうに思ってもらえたらいいなと思っている。 これから先、若い人はどんどん外へ出ていくのは避けられないでしょう。でもいつか戻ってきたときのための受け皿を用意しておくことは大事なことだと思います。 我々、真言宗では「師々相承(ししそうじょう)」ということを重んじます。師匠から弟子へと教えをつないでいく。そこで重要なのは直に教わることである。経典によって伝えられることもたくさんあるが、肝心かなめの部分は口伝えのみで伝えられている。これを「口伝(くでん)」と呼んでいます。こういった形で脈々と教えが伝えられているのである。 若い世代が積極的に教えを乞うことも必要であるが、上の世代も積極的に下へと伝えていただきたい。 「もっと聞いておけばよかった…」 「もっといろいろ伝えておけばよかった…」 各ご家庭でもそうである。お正月、お盆など、家族で集まるそのときには、親から子へいろいろなことを「口伝」してほしい。今はその重要性が分からずともいつかきっと役に立つ日がくるから。 あなたが伝えたい、伝えてほしいものは何ですか?後悔する日がくるその前に… |