
田中
高校は、和歌山の高野山高校だったそうですね?なぜ高野山高校を選んだんですか?
金子
直前まで佐渡の高校を受けようと思っていたのですが、佐渡から出てみたいという気持ちもあり、兄も通っていた高野山高校にいってみようかなと思いました。
田中
高野山高校と聞くと厳しそうな印象がありますが?
金子
そこまで厳しいとは思っていなかったんです(笑)
それまで普通科の宗教コースはあったんですが、私が入った年に初めて宗教科ができました。実際、宗教科にはお寺の子ってあんまりいないんですよ。普段の授業は普通科の生徒と同じカリキュラムで、宗教科の生徒だけ特別なカリキュラムがありました。3年生になると仏教関係の授業が少し増え、テストでは般若心経の暗記などがはありましたよ。
それと入学するときにまだ得度していない人は得度式(出家する儀式)を受けます。なので、私は金剛峯寺と自坊で得度してるんです。
田中
高野山高校では寮生活ですか?
金子
そうですね、寮でした。何人かはお寺に随身(※)して通っている子もいました。寮には、普通科と宗教科もあわせて、大体200人くらいいました。高野山の下から毎日通ってくるのはさすがに大変なので、そういう生徒はほとんどいませんでしたね。
※随身 お寺に住み込みで働くこと
田中
多感な時期に、寮生活って厳しくなかったですか?
金子
そうですね、寮生活も随身も結構厳しいので、やめる人が多かったですね。入学から卒業までに2クラス減りました。
それと冬は佐渡よりかなり寒かったです。これは何よりつらかったですね。
田中
厳しい環境だったんですね。そのような高校生活の中でも一番楽しかったことはなんですか?
金子
部活でやっていたバスケットボールですね。スポーツが強い高校だったんですよ。バスケ部も強くて、和歌山県3位までいきました。普通科のスポーツコースの生徒は午後からずっと部活をしていたんですが、私は宗教科なので放課後から参加していました。遠征にはよく行き、とくにハワイ遠征は楽しかった(笑)
田中
その後の進路は?
金子
そのまま高野山大学に進む人が多いんですが、自分は豊山派だったので、大正大学に行きました。次こそは東京に行きたいと思ったので(笑)
田中
ついに上京したわけですね?(笑)
金子
それがですね・・・(笑)大正大学には、埼玉に道心寮という寮がありまして、私がちょうど道心寮の最後の世代なんですよ。入学してから6月までの3ヶ月間だけでしたけどね。高校の寮生活に比べたら、すごく楽しかったです。豊山派の同期と仲良くなるいい機会でした。
田中
確かに、道心寮経験者の方は、同期でとても仲が良い印象があります。
金子
大学にいる時間も大事でしたが、同期のお寺に遊びに行ったり、お盆のご供養のお手伝いをしたりしました。そういう時間は、とても有意義な時間でしたね。他のお寺のことも勉強できてよかったです。
大学生活の最後には、中国研修もありました。お大師さまに関係があるところを巡ったりしたんですけど、とても楽しかったです。
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