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最終回 写仏のご利益


 人の願いがそれぞれであるように、ご利益も人によって様々でしょう。体の悪い部分が治ったり、恋人ができたり、仕事がうまくいったり、例えたらきりがありません。

 では、写仏ならではのご利益はないのでしょうか。もちろん、病気が治ったり、仕事がうまくいくこともご利益でしょうが、写仏のご利益とは、ずばり、描いた仏さまと私は、実は同じだったのだ、と気づくことなのです。

  病に苦しむ人の背中をさすってあげたことがある。悩んでいる人に手を差し伸べたことがある。ご自分の人生の中で、そんな場面が幾度となくあったはずです。その行いの一つ一つは、まぎれもなく仏さまと同じ行いです。

  筆を通して、仏さまと一つとなる。描き終えた後に思い返してみてください。今までの人生の中で、病に苦しむ人の背中をさすったあなたはお薬師さまで、悩んでいる人に手を差し伸べたあなたは観音さまだと感じるはずです。それこそが写仏のご利益といえるでしょう。

  筆を用いて仏さまを写す。あなたの心の中に、もともと住んでいらっしゃる仏さまを、ぜひ見つけてみてください。