〜 も く じ 〜

＞第二十七代会長退任挨拶

　　真言宗豊山派仏教青年会会長　鈴木道盛

＞降りそそいだ勇気の陽射「千響」

　　実行委員長　藤間文雄

＞広報次長のこんなこと聞いてきました

＞編集後記
　

　就任当初は、何分浅学非才の身でありますので、仏青五十一年目の出発として何が出来るのかと模索する日々でした。過去の豊友を読み返し、歴代理事長・会長がなされた活動を振り返りましたところ、人と人との繋がりを大事にしたいという思いが根本にあると感じ、この二年間はその思いを第一に心がけようと努めて参りました。

　任期中の事業において、殊にその思いを主としたのは、全真言宗青年連盟第三十回記念結集東京大会並びに豊山太鼓「千響」でした。

全青連結集では、テーマを「ともに歩むために」とさせて頂き、人との繋がりだけでは無く環境問題なども組み入れて、より広い輪を繋ぐことを考える場として三百六十名の青年僧侶が集まり大盛況に終えることが出来ました。

豊山太鼓「千響」は、和太鼓を通じて心を一つにする大切さを感じて頂けることを願い発足した新事業です。サントリーホールで開催されましたコンサート〜いのちのひびき千響〜では、まさに太鼓衆と職衆そしてコンサート運営に携わって下さった関係者各位の心が一つとなり、ご来場頂きましたお客様に感動をお持ち帰り頂けたのではないかと感じております。

豊山仏青会長として大変多くのご縁を結ばせて頂き、また様々な場面で多くのご指導を頂戴したことで、私自身が人との繋がりの大切さを強く感じることが出来た二年間でした。

最後にあらためまして、宗内外諸大徳並びに豊山仏青理事・会員各位、各事業を支えて下さいました担当委員各位、そして執行部の藤間副会長・花園副会長・池戸副会長・八幡副会長・芝村事務局長・木村総務次長・田口会計次長・猪狩事業次長・田中広報次長・事務局員の皆様に心から感謝申し上げ、また豊山仏青今後益々のご発展をご祈念申し上げて退任の挨拶とさせて頂きます。　合掌

　副会長として執行部数か月が過ぎた頃に、初めてその計画を耳にしたのが、豊山太鼓「千響」発足記念コンサート「千響〜いのちのひびき〜」である。仏青ＯＢのある先輩からは、慎重に進めるようにと助言をいただいたのを覚えている。実行委員長として「責任」の二文字が寄り添ってきた。後ろを見れば「不安」もいた。これからも多くの悔しさや、つまずきという敵が接してしてくるのかと思うと心縛られる思いであったが、その心を解きほぐす男がいた。豊山太鼓「千響」初代委員長、馬場貞範その人である。結果的には馬場委員長はじめ林英哲先生、風雲の会、仏青ＯＢ、理事様、会員各位、執行部、協賛各社他、関係各位のお力添えを賜った。感謝申し上げると共にご迷惑をおかけいたしましたこと、お詫びさせていただきます。

　それにしても馬場貞範という男は凄い。内容についての資料を見て「よく思いつくものだ」と感心し、その説明後には「これはいけるな」と二度感心したものである。やる気がある者の周りには魅力的な者が集ってくる。月一回の練習見学時には「六大響」はじめ、新曲の「不動響炎」の会得など、メンバー一人一人の取り組む姿勢の先には、会場にお越しくださった皆様の笑顔が想像できた。

　「太鼓も撥の当りよう」やり方次第で、相手の心の感じ応える事が違う事のたとえだが、ご来場いただいた皆様には、いかがお過ごしいただけたのか。公演終了後のアンケートには叱咤激励もいただき、今後の課題として真摯に受け止めなければならない。しかし一方では、演者の姿勢が皆様を励まし、がんばろうという気持ちにさせた事も事実である。二月四日、五日と素敵な時間を過ごせたこと、ご来場いただいた皆様には衷心より感謝を申し上げます。

　あるお客様から、お褒めの言葉を頂戴した。その顔はすっきりとした涼やかな笑顔のプレゼント付き。後輩諸君、またいつの日か、人を前向きにさせる太鼓の鼓動を届けてほしい。その時には笑顔と拍手を降りそそいでいる大勢の中に私もいるだろう。一人の「千響」大ファンとして。

二年間の任期を終え、今年の三月に解散となった第二十七代執行部。今回は、鈴木道盛元会長のもと、執行部を支え続けた四人の副会長に、対談形式でインタヴューしてきました。

　ここで、インタヴューに入る前に、あらためて皆さんのご紹介をいたします。

　東京二号の花園昌道師（右端）・千葉中部の藤間文雄師(中央右)・福島一号の八幡明心師（中央左）・愛知の池戸杲大師（左端）、の四名が二年間執行部を支えた副会長です。

広報：皆さん、本日はお忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。私が執行部に広報で入らせていただいた時から、念願だった「副会長対談」ですが、皆さんのご協力のもと叶いました。ありがとうございます。

藤間：いやいや、田中ッス次長の頼みとあらばね、なんでもやらさせていただきますよ。

池戸：当然ですね。

広報：ありがとうございます、感無量です。それでは、さっそく聞かせていただきます。まずはじめに、副会長という任を終えて、この二年間を振り返った感想をお聞かせください。

「人との繋がり」

藤間：そうですね、二年間を振り返って、月並みな言葉ですけどあっという間でした。それだけ充実した二年間だったということですね。

八幡：なんか、もう一年くらいあっても不思議じゃない感じですよね？

池戸：いやぁ・・・(笑)

花園：でも今回、五〇周年という節目を終え、五一年目ということで「何もないから」って言われたけど、藤間さんも言われたように、充実した二年でした。結集や千響のコンサートなど、これもひとえに鈴木会長の人徳でしょうね、素晴らしい事業が集まってくるのかな、って思います。

広報：八幡副会長は？

八幡：楽しかった。・・・ていうのはダメ？

藤間：素晴らしい意見ですが、すみませんダメです(笑)

八幡：ですよね、今回副会長に、というお話をいただきましたが、女性は初めてなんですよね。

池戸：そうだね、今までは会長、副会長はもとより、次長でもいなかったんじゃないかな。

花園：事務局員さんやウェブ委員さんには女性会員の力をお借りしているんですけどね。

八幡：最初、怖いと嫌だな、って思ったけど鈴木会長をはじめ、皆優しくて、すごい和やかな雰囲気で、やっぱり楽しかったです。

藤間：本当だよね、楽しいってことは大切なことだよ。

池戸：そうだよね、俺は関西なんだけど、最初はいろんな戸惑いもあったよ。俺なんかが、こんな場所にいていいのか、とかね。でも、終わってみれば、楽しかったね。鈴木会長も言っていたけど、人との繋がりっていうのかな、「輪」っていうのが、今までの自分が持っていたものの三倍にも四倍にもなった。本当にいろんな人との繋がりは、これからの自分にとって素晴らしい財産になったと思うよ。

藤間：私は、この中で唯一会長より年上なんです。会長もやりにくかったと思います。これは、二年間ずっと思っていました。本当にご理解をいただいたこと、大変感謝しております。ありがとうございました。

　縁の下の力持ち、という感じで二年間支えてくださいまして、私も非常に助けていただきました。本当にありがとうございました。では、続きまして、本当にたくさんの事業をやらさせていただきましたが、各事業の担当の副会長に、それぞれお話を聞いてみました。

「支えてくれた人たち」    

広報：では、続きまして色々な事業についてお聞かせください。本当は全ての事業のお話をいただきたいのですが、ページの都合もありますので、まず、全真言宗青年連盟記念結集の副実行委員長・千響コンサートの実行委員長として担当された藤間副会長、お願いいたします。

藤間：名前だけでしたけどね。

池戸：そんなことないでしょう。

八幡：一番目立ってましたよ、司会の時とか・・・。

一同：(笑)

藤間：その節は、ご迷惑おかけいたしました。

花園：藤間さんは、社会経験というか、お勤めになった経験が私たちにはわからないことを教えていただきました。

池戸：そうだね、ホテル関係の人との話の進め方とか、順序だてみたいなものを教えてもらいました。

藤間：まぁ、でも結集には、三五〇人を超える本当に多くの人に集まってもらったし、島田洋七先生や、林英哲先生が講師として来ていただき、本当にありがたいことです。あともちろん今回、実行委員長を務めた次期豊山仏青の会長(現会長)である�煖ｴ將雄師の力です。コンサートも、最初は不安だったけど、両日ともに二百人を超える職衆さんにご出仕いただけた。さらに、両日とも会場は満員になりました。やっぱり、委員長・副委員長だけではなにもできない。ご参加いただいた皆様と、事務局の人たちがいたから、やり遂げることができたんです。一生懸命やってくださった皆様に感謝しております。

広報：ありがとうございます。次に、三派結集・写仏講座の団参を担当された花園副会長、お願いします。

花園：先ほどの藤間さん池戸さんの話と重なるけど、三派の繋がりを感じられた。繋がりっていうのかな、「祖師讃仰」のもと、力を合わせられたことを実感しました。写仏の団参についてですが、二年に一度、受講生の皆さんの作品の展覧会をしているのですが、今回、木下先生のご提案で、皆さんのお描きした十一面観音さまを開眼して、本山に奉納しようということだった。受講生の皆さんからも、大変ご好評いただき、また、お互いの作品を見合い、受講生同士の繋がりが出来たのが良かったですね。

八幡：私もご一緒したんだけど、藤間さんと夫婦に間違えられたんですよ(笑)

藤間：あれは一番嬉しかったですね(笑)

池戸：それも、一回だけじゃないよね？たしか、結集でも同じようなことがあったよね。

八幡：それだけ、みんな仲がいいってことですよ。一つの家族みたいで。

広報：たしかに、仲がいい執行部だっていうことですよね？私も嬉しいです。次に、八幡副会長は、二年間ＷＥＢ委員会の担当ということで、お話をお聞かせください。

八幡：私は、副会長をやらせていただく前に、八年間ＷＥＢ委員だったから、それもあってのことなんですけど、やっぱりＷＥＢは、情報をすぐ伝えられる。それも、広く伝えられるから、本当にいい情報ツールなんだ、って改めて感じます。執行部として、事業に携わり、リアルタイムな発信ができるっていうのはＷＥＢならではだと思いますよ。使い方次第ですけどね(笑)

花園：写仏の団参でも、八幡さんの分身でもある「みょうしん君」は大人気でしたからね。

池戸：みょうしん君は、今執行部には切っても切れない関係になったもんね。ホームページの漫画もよくできとるなぁ、って思うよ。

広報：では次に、今執行部が立ち上げにかかわった豊山太鼓「千響」の担当副会長でもある池戸副会長、お願いいたします。

池戸：そうやね、二回目の理事会で長谷寺での演奏奉納、愛知での講習会が決まり、準備委員会が発足して、会長より担当をお願いされて、関西ブロック隊長ということでね。頑張らせていただきました。

藤間：本当に、その節はありがとうございました

池戸：いやいや、藤間さんもおっしゃられてたけど、やっぱり来てくださった皆さんがいたからできた事であってね、長谷寺の観音さまにも「千響」の演奏を奉納できたし、関西でも太鼓を始める人が増えて、本当にいいご縁をいただいた、って思ってるよ。それが、二月のコンサートにも繋がっているのかな、と感じるし、皆様、どうもありがとうございます。

　全ての事業についてお話を伺いたかったのですが、紙面の都合上、限られた事業のみのインタヴューになってしましましたが、誠に申し訳ございません。最後に、現執行部の皆さまへ、伝えたい事をお聞かせいただきました。

「互いを思うこと」

広報：今年度末を持って、執行部は解散になりますが、次の執行部の皆さまへメッセージをお願いいたします。

藤間：そうですね、本当に大変だと思いますけど、がんばってください。あと、次長になられる皆様や事務局員の皆様には、いろんなことを勉強してもらいたい。会議だけじゃなく、いろんな場所でも、先輩から学べるところは大きいと思うので、そういった場所を大切にしてほしいですね。

花園：今執行部の藤間さんのように、社会経験が豊富な先輩もいるだろうし、若手の皆様には、どうしても足りない部分を教えてもらえるチャンスだと思う。同じように、お勤めをされて、仏青に携わる時期が短い人にも、後輩にそういった経験を教えていただくためにも、協力をお願いいたします。先輩を敬い、後輩を敬う、いろんな意味でお互いを思うことが大切だと思います。

八幡：体調には気をつけてくださいね。

一同：そう、その通り。

八幡：色々と遠くに行くことも多いと思うけど、元気に楽しく過ごして、終わった後に良い思い出だった、と思えるようにお願いします。あと、三派結集が福島なので、皆さん来てください。

池戸：八幡さんは地元だし、実行委員でしょ？がんばってください。私は関西の担当ですが、やっぱり中央っていうのか、東京が中心になると思うんです。私たちも努力しましたが、なるべく、地方も取り込んでいけると嬉しいですね。最後に、本当に体には気をつけて頑張ってください。

　最後の理事会が終わり、年度末のお忙しい中、貴重なお時間を割いていただき、インタヴューに応じていただきました。文中にもあるように、終始笑いが絶えず、和やかな雰囲気の中で行われた今回は、鈴木道盛執行部を表すような

家族といるような気分でした。花園副会長、藤間副会長、八幡副会長、池戸副会長、本当にありがとうございました。

編集後記

　『同行二人』言わずもがな、お大師さまの教えである。ご入定されるとき「いつでも私を呼びなさい、私はいつでも、あなたのそばにいます」とおっしゃられた。四国のお遍路さんが身につける笠と金剛杖にも、同行二人と書かれている。

　二年前、「広報を担当してください」とお話をいただいた時、心の中には不安しかなかった。しかし、いつでも誰かに支えられていた。けっして一人では、この二年間を全うすることはできなかった。お大師さまが言われた通りである。自分が気づけば、一人ということはないのである。この二年間、本当にたくさんの事を教えていただき、本当にたくさんの人に支えられていることを実感した。感謝という言葉でも言い表せないほどの大恩を感じている。

　「万恩のうち、百恩を知り、せめてその一恩に報ぜん」名取芳彦師にいただいた言葉である。皆様からの計り知れないご恩のうち、私が気がつくことが出来たご恩の、ほんの少しでもご恩返しができるよう、これからも精進していきます。

　最後に、右も左も分からぬ私を支えてくださった、執行部の皆様、事務局員の皆様、諸大徳の皆様、そして、発行にご尽力いただいた立花印刷の皆様に感謝申し上げます。本当にありがとうございました。