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【豊山仏青機関紙 豊友第146号】 平成25年4月9日発行
発行者:豊山派仏教青年会 真言宗豊山派宗務総合庁舎内 (直通)TEL・FAX03-5940-0585
発行人:花園昌道
編  集:豊友出版部


〜 も く じ 〜

○『全真言宗青年連盟 災害救援研修会に参加して』

  栃木二号 無量院 寺山 賢照

○『相馬の子どもたちに明日への元気を!』プロジェクトに参加して

  茨城三号 尊勝院 尾上 浩盛

○編集後記

 


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  『全真言宗青年連盟 災害救済研修会に参加して』

                       栃木二号 無量院 寺山 賢照
                                  

 平成25年2月5日(火)、京都智積院内の真言宗智山派宗務庁に於いて、全真言宗青年連盟主催による「災害救援研修会 〜災害時における寺院の果たす役割〜」が開催された。この研修会は2011年に発生した東日本大震災とあらためて向き合い、被災地で何が起こったのか、僧侶は何を必要をされたのか、そして緊急時に地域の要となる寺院、僧侶の役割は何か、を考えることを目的としたものである。当日は真言宗各派の青年僧侶が110余名参加し、この問題に対する強い関心がうかがわれた。

 まず午前中は基調講演として、陸前高田市長である戸羽太氏をお迎えし、「被災地の現状と今後のまちづくり」をテーマにお話いただいた。陸前高田市といえば、東日本大震災で最も損害を被った地域のひとつである。その行政トップであり、自身も家族を亡くされた被災者である戸羽氏は、復興行政、慰霊、そして被災者の心情について、自らの経験を元にお話くださった。復興未だながら、震災のニュースが日々少なくなることへの危機感を述べられ、「人は誰かに見てもらわないと頑張れない」と、困難な中で頑張る人への気づきと気持ちの共有の重要性について説かれていた。また、新たな縁が結ばれることで「救われていく」実感が感じられた、とおっしゃっていたのが印象的であった。

 昼休憩時には「おしのぎ」として、アルファ米を用いた非常食の試食と、併せて防災用品のプレゼンテージョンが行われ、進化する防災用品の最先端に触れることができた。
 午後第1部は、公益社団法人シャンティ国際ボランティア会専務理事である茅野俊幸氏による「災害時における寺院の役割」の公演が行われた。同会は、曹洞宗の国際ボランティア団体をきげんとした、長い歴史をもつ団体である。その豊富な経験を元に、個々の寺院における平時の備え、発災から72時間内に行うべき行動、寺院が避難所になった場合の運営法などについて、具体例を挙げて講義がなされた。まあた「お寺のための防災ガイド」、備品チェックリスト等、防災実践に役立つ資料をいただいたのも有意義であった。

 午後第2部は、高野山真言宗神奈川青年教師会の災害対策実行委員長である鹿野融真氏による講演「組織としての災害支援活動について」であった。東日本大震災での経験を元にした、青年会などの単位による組織的支援活動のあり方についてお話いただいた。炊き出し・物資配布から法要・演芸会に至るまで、災害からの時間経過、季節、被災者のニーズなどの情報をつかんで、刻々と支援内容を変える心配りの細やかさが素晴らしかった。
 午後の講演終了後には、各派青年会選抜メンバーによる野外炊き出し実習が行われ、中華まんと豚汁がふるまわれた。日中といえ寒さ厳しい2月の京都の屋外で、あたたかい食事をとることのありがたさが身にしみて感じられた。

 炊き出し終了後、閉会式のご法楽では「回向東日本大震災物故者精霊」とお唱えして研修会は幕を閉じた。

 充実した内容の研修会の中で、筆者が特に重要だと感じたのは以下の点である。
 まず、寺院は支援者にも被災者にもなりうる、という点である。被災者救援活動の主体として、慰霊の重要な催行者として、寺院への期待は大きいといえるだろう。一方、古い木造建築が多い寺院は、自ら被災者となりうる可能性も高い。各寺院においては日頃から備蓄、防災学習、そして地域との情報交流を行い、そして一度被災時となった場合には、命を守り、心を立て直し、寺院機能を再生して復興と慰霊に取り組むことが求められている。今回の研修のような多面的な学びを通じ、備えを構築していくことが必要と思われる。

 第二点として、被災地支援活動に繋がる方法は多様であるという点である。支援につながる資格や能力を高く見積もるあまり、「自分にはできない」と諦める人も多いのではないだろうか。しかし、例えば寺行事のお接待でふるまわれる汁物のノウハウが炊き出しに応用できるなど、日頃の寺院活動との結びつきの中で、防災や被災地支援につながる部分は多々あると思われる。自分に実現可能な支援は何かを考えることが重要であろう。

 自然災害は、生きている限り我が身に起こる可能性のあるものである。今生きている今日が、明日の災害の1日前、ということもありうるだろう。今回の研修会で得られた数多くの学びと気づきを「明日の備え」として活かしていきたい。
 
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 『相馬の子どもたちに明日への元気を!』プロジェクトに参加して

                      茨城三号 尊勝院 尾上 浩盛
                         

 早朝の庭一面に霜が見られるようになり、本格的な冬の到来を感じる12月22日『相馬の子どもたちに明日への元気を!』プロジェクトが行われました。

 この活動は東日本大震災流灯会実行委員長の摂取院鈴木弘隆住職を中心に、25名を超える僧侶、けん玉チャンピオンの大川栄一氏、和太鼓奏者の上田秀一郎氏を迎え、80名を超える子どもたちがスポーツアリーナ相馬に集まり行われました。
 相馬市立谷秀清市長によるご挨拶で開会し、青少年研修で行われている腕輪念珠作り、レクリエーション・けん玉チャンピオンの大川栄一氏のパフォーマンスと続き、最後に和太鼓奏者の上田秀一郎氏を中心に千響も加わり太鼓の演奏を行い閉会しました。

 子どもたちが体育館の中を笑顔で走り回っている姿が見られ大変うれしく思いました。
 震災後、仏教青年会を通じて、瓦礫撤去のボランティアや避難所への訪問、チャリティ活動に参加させていただきました。今回の経験を生かし、今後も被災者の心の復興を祈りつつ、支援を続けていきたいと思います。
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編集後記
 

 広報次長を任されてから早いもので1年が過ぎました。

 この1年は怒涛のように忙しかったけれど、とても充実した1年でした。

 会長をはじめとする執行部の皆様や陰ながら応援してしてくれる地元仏青の皆様には本当に助けてもらい感謝の念に堪えません。
 
 しかしながら、自分なりに反省点も浮き彫りになった1年でもありました。今年度こそは、この反省を生かし、皆様にご迷惑をかけないように精一杯勤めていきたいと思います。

 今年度も会員の皆様には御支援御指導を宜しくお願い申し上げます。

豊山仏青広報次長 鈴木 真人

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