Map Mail


第5回 写仏をしてみる

 お手本の下絵に紙を重ねたら、ゆっくり時間をかけて写します。筆の勢いはいりません。一見たどたどしく思われますが、丹念に引いた線は、はやく描いた線よりも秘めた力を感じさせます。

 写す順序に決まりはありません。まずは気軽に写せそうな部分から写します。そして筆に慣れてきたら、細かい部分に進んでください。お顔は難しいので緊張しますが、心を静め、念じながら写しましょう。 

 大事なことは、途中で線が乱れたと思っても最後まで写し、完成させることです。完成すると、細部の失敗はほとんど気になりません。写仏することは、単に正確に仏さまを写すだけでなく、仏さまに近づくことですから、絵としての上手下手は問題ではありません。

 子どもたちが写仏する時はサインペンや筆ペンでもよく、個性的、現代的な仏さまが写せます。写すということで没個性ではないかという問題がありますが、線は写す人の心を表現しますから、写すといっても各人各様で、その違いに驚かされるほど、写仏は個性的なものなのです。

参考 『豊友第48号』 難波淳郎 「写仏のすすめ(一)」 昭和55年6月30日
次へ→