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第2回 写仏のはじまり


 若き日の空海(お大師さま)が唐の国で「密教」を学び、日本に持ち帰られたその中に仏さまの図像も含まれていました。それは、墨の線のみで輪郭をとった仏さまの絵図で、その線には変化はほとんどなく、ほぼ一定の太さを保っていました。
 お大師さまは、自身の著書の中で「真言密教はとても奥深いので、経典や解説書の文字だけをたどっても、とうてい理解しつくせるものではない。図像の力を借りなければ、その奥義を性格に伝えることはできない」という内容のことを記されています。
 無数ともいえる様々な仏さまのお姿、その教え、そして秘法を伝える時は、図像や図を示して伝える必要があったのです。
 
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参考 『豊友第48号』 難波淳郎 「写仏のすすめ(一)」 昭和55年6月30日