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第3回 写仏時代、到来!


 写仏は密教僧の修行の一つだったわけですが、いつしか画才をもつ僧のみが仏像を描くようになり、画僧という仏画製作を専門とする僧が誕生しました。絵画という技術が、専門的なものと考えられるようになったのでしょう。

 また密教図像からの写仏は、ごく限られた寺院の中で行われるものであり、外部への普及はまったく考えられないものでした。

 ところが印刷、出版文化の隆盛で、私達は精巧な原色版の色刷りの仏画や図像を見られるようになりました。仏教美術に関する書物等の仏像資料を、現代ほど気軽に手もとにおける時代はありません。
 
 そして気軽に筆をとって描く時代を迎え、水墨画・俳画・油絵などの絵画人口は極めて多く、仏教思想美術に対する関心の深まりとともに、写仏時代が到来したともいえるでしょう。
 写仏することによって、得られる心のやすらぎは、貴重なものとして現代に求められているのです。
参考 『豊友第48号』 難波淳郎 「写仏のすすめ(一)」 昭和55年6月30日
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